【記事紹介】マレーシアのバイオエネルギー開発

Bioenergy Developments in Malaysia
マレーシアのバイオエネルギー開発
Salman Zafar
BIOENERGYCONSULT2022年2月17日掲載
URL/ https://www.bioenergyconsult.com/bioenergy-developments-malaysia/

(概要)
 バイオマスなど再生可能なエネルギー資源が豊富なマレーシアでは、第8次マレーシア計画(2001~2005)において2005年までに再生可能エネルギー比率5%を達成することを目標に掲げた。さらに、2006年に始まった国家バイオ燃料政策では持続的かつ実行可能なバイオマスエネルギーの活用が奨励され、同国政府はthe Five Fuel Policy の中で、バイオマスを潜在的な再生可能エネルギーの一つと位置づけている。

サバ州タワウのTSH搾油工場
(2004年頃、筆者撮影)

 マレーシアでは年間約1億6800万トンのバイオマスが産出されており、中でもオイルパームに関わるバイオマスはおよそ1億トンに上る。これらのバイオマスからは2400MW以上、またバイオガスから410MWの発電能力があるものの、これまでに利用されたのはごく一部に過ぎない。その一方で、籾殻も同国にとって重要な農業バイオマス資源であり、フィンランドの技術協力を得て、現在籾殻を原料とするバイオマス発電所が稼働している。

 また、マレーシア国内にバイオマスを資源とするエネルギーシステムを普及させるために、EC-ASEAN Cogeneration Programとしてペラ州、サバ州など国内3カ所でフルスケールの実証プロジェクトが進められている。

<この記事の後半にあるEC-ASEAN Cogeneration Programの実証プロジェクトについて、サバ州タワウにあるTSH Bioenergy社を紹介しています。ここは以前紙パルプ製造で非木材グリーン協会も関わったTSHグループに属している会社です。このグループでは今から10年ほど前に現地タワウにオイルパームEFBを原料とする紙パルプ工場を立ち上げ、日本を相手とした販路拡大も計画していました。しかしながら、この話は次第に縮小し、いつの間にか立ち消えとなっていました。それがここに来て、マレーシア最大のバイオマス発電所となっているとのこと。もはや完全にパームバイオマスのエネルギー利用にシフトしており、紙パルプ利用は一顧だにされず何とも残念な限りです。まぁ、時代の流れなのでしょうか・・・。>

(田中良平)