【論文紹介】オイルパーム空果房からの紙パルプ製造~マレーシアにおける現在の方向性~

Maimunah Mohd Ali, Nur ‘Atirah Muhadi, Norhashila Hashim, Ahmad Fikri Abdullah, Muhammad Razif Mahadi
‘Pulp and paper production from oil palm empty fruit bunches: A current direction in Malaysia’
Journal of Agricultural and Food Engineering, Volume 1, Issue 2, Article number 0017 (2020)
e-journal / http://doi.org/10.37865/jafe.2020.0017

要旨
 紙パルプ産業の発展はめざましく、あらゆるセルロース系資源から様々な手法を用いて多種多様な紙が製造されている。マレーシアにおいては非木材の紙パルプ原料として、オイルパーム空果房(EFB)が豊富に存在する。EFBは繊維状残渣であり、木質原料の代わりとなる有望な天然繊維である。本研究では、紙パルプの代替原料としてEFBを利用することについて考察する。また、EFBの高付加価値な繊維材料としての可能性についても言及する。
 また、このレビューでは、紙パルプ製造過程におけるEFBの特性について議論し、その化学組成や繊維形態を明らかにする。その一方、EFBからのナノセルロース、高分子ヒドロゲル、抗菌紙など最近の応用例を取り上げ、紙パルプ技術の実用性が高いことを示す。さらに、紙製品ではその複雑さから3次元(3D)印刷技術が採用されていることに言及する。
 最後に、紙パルプ製造におけるEFBの利用について今後の見通しと課題について検討し、総じてEFBが潜在的な製紙原料として、マーケットチェーンの需要に応えうることを示す。

<本論文は電子ジャーナルとして2020年7月に発行され、マレーシアにおける紙パルプ原料としてのオイルパーム空果房(EFB)について概括しています。結論としては、EFBは有望な原料であり、今後ナノセルロースなど高付加価値製品を製造できる可能性を秘めている、としています。なお、本文献はオープンアクセスですので、上記URLからダウンロードできます。>

(田中良平)