魅惑の熱帯果実7:スターフルーツとスターアップル

スターフルーツの樹

 輪切りにするとクリスマスツリーに飾る星型の切り口を与える果実があります。その名もスターフルーツ(starfruit)、carambola ともいいます。まさに自然の妙味ですね。和名は五歛子(ごれんし)。これはカタバミ科ゴレンシ属の常緑の木本の果実で、学名は Averrhoa carambolaです。原産は南インドなどの熱帯アジアで、東南アジア全域のほか、中国南部や台湾、ブラジル、カリブ海周辺、米国のフロリダ、ハワイなど、熱帯から亜熱帯にかけて広く栽培されています。日本では現在、沖縄県などで栽培が行われています。

星形のスターフルーツ果実

 果肉は和ナシに似た食味ですが、味は薄く、酸味があります。サラダとして食べたり、生食もしますが、熱帯の果実という感覚からすると期待はずれです。

カランボキシン:2-Carboxy-3-
hydroxy-5-methoxy-L-phenylalanine

 カタバミ科の植物ということもあって、微量なシュウ酸塩を含んでいます。健康な人には問題ありませんが、腎臓の機能に問題がある人が食べると、時にシュウ酸カルシウム結石症になる可能性が指摘されています。また神経毒であるカランボキシン(caramboxin)を含んでいますので、特に透析患者など腎臓機能障害を持つ人が摂取すると、神経症状を発症することもあると指摘されています。

スターアップルの果実

 もう一つ「スター」と名付けられる果実を紹介しましょう。スターアップル(Star apple)です。青紫色の固い果皮に包まれた内部の可食部分の断面に、星形に種が並ぶことから名付けられたようです。ベトナムでは見た目が小型なリンゴのようなこと、さらに果皮に傷をつけると乳白色の果汁が出てくることからミルクアップルなどと呼ばれています。和名はスイショウガキ(水晶柿)となっています。

たわわに実る果実

 スターアップルは中央アメリカや西インド諸島など熱帯の低地を原産とするアカテツ科オーガストノキ属の樹木で 20m にもなる高木で学名は Chrysophyllum cainito です。
 現在では世界中の熱帯地域で栽培されています。東南アジアでは縦に半分に切って,スプーンですくって食べます。プルプルの食感で、マンゴスチン、カスタードアップルのような濃厚な、南国の香り高く、甘いトロピカルな味わいです。

(飯山賢治)